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開催中の展覧会
両 国




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Threads of Resonance: Women Weaving Stories
大久保 如彌・大坂 秩加・替場 綾乃
2025年1月28日(火)〜 3月1日(土)
11:00 - 19:00 日曜・月曜・祝日休み
GALLERY MoMo 両国では、1月25日(土)から3月1日(土)まで、大坂秩加、大久保如彌、替場綾乃の3名の女性アーティストによるグループ展「Threads of Resonance: Women Weaving Stories」(共鳴の糸:女性が紡ぐ物語)を開催します。
現代社会における女性の視点を物語に織り込みながら表現する作品を中心に展示いたします。同世代の大坂、大久保、替場の作品を一緒に展示することで、日常に潜む小さな感情や身近な問題を浮き彫りにしながら、見る者に「共感」と「問い」を投げかけます。三者三様の視点と問題意識を持ちながらモチーフに共通性があり、同時代を生きる彼女たちの繋がりを感じることができる展示を是非ご高覧ください。
大久保 如彌(おおくぼ なおみ)
1985年東京都生まれ、2011年武蔵野美術大学大学院修士課程修了。2005年にシェル美術賞展に入選、2007年にはトーキョーワンダーウォール賞を受賞しました。その後韓国、ソウルで開催されたAsian Student and Young Artists Art Festivalに参加、A.STYALE Gallery (香港)、Gallerie Christoffer Egelund(デンマーク)、ELSA GALLERY(台湾)など海外での展示を重ね、スウェーデン、ヴァールベリでのアーティストレジデンスプログラムに参加し、現地で個展を開催。スウェーデンの美術館Hallands Konstmuseumにも作品が収蔵されました。
文化庁新進芸術家海外研修制度にて2017年から2019年にニューヨークに滞在、その後、公益財団法人吉野石膏美術振興財団の在外派遣研修制度にて滞在を続け、2020年に帰国後も2024年にFou Gallery (ニューヨーク)で個展を開催しました。
大久保は初期より、他者との繊細な関係性をテーマに作品を制作し、多感な少女の内面を描いてきました。自身をモチーフに顔を隠して描くことで、作品の中の少女に鑑賞者自身を、もしくは近しい女性を重ね合わせ、国籍を問わず多くの共感を得てきました。
近年では、自身の経験から人間関係の中で装うことや装飾の持つ機能や意味、社会との関連性を考察しながら、現代社会の断面を作品化しようと試みてきました。他者との関係性が変化する中で、社会性の強いテーマに関心を深めながら、その繊細で鮮やかな描写はそのままに、社会の中で様々な問題が埋もれていくように、大久保の作品からも強いメッセージが直接的に表現されることはありません。しかし、美しく描かれた装飾と、時にパターン化するように複数の同一人物が画面に登場する作品は、観る者に不思議な感情と多少の不安感を惹起させ、作品に二面性を持たせています。
本展では、幼少期に母から教わり、慣れ親しんだ裁縫と、そこに無意識に込められていた意図や矛盾、「家」に対する違和感と目に見えない複雑な思いを出発点とした作品を展示いたします。作品に登場する人物が着ている衣服は全て自ら縫ったもので、頻繁に登場する糸のモチーフも裁縫から着想を得ています。
大坂 秩加 (おおさか ちか)
大坂秩加は1984年東京生まれ、東京藝術大学で油画を専攻後、2011年に美術研究科修士課程版画専攻修了。2010年シェル美術賞展で審査委員賞を受賞、2014年にはVOCA展で佳作賞を受賞、市原湖畔美術館で開催した「プリントって何?―境界を超えて―」や、2016年に京都で開催された京都版画トリエナーレにも参加しました。また、当ギャラリーでは2011年より個展を開催、2015年にドイツのMICHEKO GALLERY、2019年にはスイスのMuseum Franz Gertsch、2021年にはELSA GALLERYで個展を開催し、活躍の場を広げています。
高度な版画技術を持ちながらもその技法にこだわらず、版画、水彩、油彩と作品を展開し、コミカルで親近感のある人物を描きつつ、着衣や日常品の文様には日本の古い様式から転写され、どの技法からも現代的な浮世絵というイメージを想起させます。
初期より大坂は、学生時代に関わった舞台美術から制作への着想を得、作品に自身で作った小説の一節とも誰かの日記の一部とも言えるような、様々な女性の日常を描いた短い文章と合わせて作品を発表してきました。個展を重ね、モチーフとしている台詞は戯曲、描く人物は役者、テーマに合わせたインスタレーションは舞台セットといったように展開させ、展覧会を通して群像劇を作り上げ、虚構の中のリアルを表現しようとしてきました。ユーモアとアイロニーが混じり合うそのテキストは、フィクションでありながら、作家と同世代の多くの女性に強く響き、共感を得てきました。
本展では、「嫌な夢」をテーマにした作品を展示します。大坂は、これまで作りだしてきた言葉や平面作品は、全てフィクションでありながら、どこかリアルであり、「夢」と親和性が高いように感じたと言います。作品を通して国や文化を超えた普遍的な不安感を表現しながら、夢と現実、虚構と真実の曖昧な境界線を探ります。
替場 綾乃(かえば あやの)
1984年神奈川県生まれ、2008年多摩美大美術学部絵画科卒業、当ギャラリーでは2009年、2012年に個展開催して以降、グループ展にも参加しています。
替場は、初期より支持体にモチーフの形にカットされた合板を用いてきました。少ない色彩で描かれる作品はテキスタイルの繰り返し文様のようであり、その形も含めて仔細に眺めると、作品が女性的な内容に溢れていることに気付かされ、時にジェンダーの問題意識ともつながる作品となっています。妊娠、出産、子育てを経て、替場自身の「私らしさは」曖昧になり、「内側を形作る外側の影響力を意識させた」と言います。また近年では、母親として過ごす時間が多い替場の繊細な感情と、母親としての葛藤や愛情をテキスタイルや古典的な文様などを用いながら、現代的で個人的な物語を織り込んだ作品を制作しています。本展では、「包み込むようなやさしさ」というイメージをもとに、「やさしさ」のもつ多義性をテーマにした作品を展示します。
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