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Tomoko Konoike

Tomoko Konoike's Structure,

May.23 - Jun.24, 2023

Roppongi | Projects

鴻池 朋子

鴻池朋子のストラクチャー

2023年5月23日 - 6月24日

六本木|プロジェクト

Artsy

GALLERY MoMo Projects (Roppongi) is pleased to present "Tomoko Konoike's Structure," a solo exhibition by Tomoko Konoike from May 23 (Tue) to June 24 (Sat) during the Roppongi Art Night.


The exhibition will feature a series of works and materials that provide a glimpse into the structure of the exhibitions that Konoike has created while traveling back and forth between the galleries and the works on display at the New National Museum and Midtown during Roppongi Art Night.


The exhibition will also include installation videos of large-scale works, and conceptual sketches for each museum's exhibition. We will make a space named Depth Library for reading the letters between Konoike and Tomotake Kinoshita, who is a deaf historian, and her books and her exhibition catalogs.

As Konoike says, "When the path opens, the material itself conveys through it the form that it wants to be. The structure is like adding a little bone to that form, she searches for the ideal form of the material, abandoning the fixed concept within herself and waiting for the material to tell her something.

Through the words of her conceptual sketches and letters, we can glimpse her unique perspective on the materials and the process of "adding a little bone" to them.


By taking the time to view the exhibition and the process of creating the work in a quiet gallery away from the busy city of Roppongi, we believe that visitors will experience in a different way what Konoike has attempted in her exhibitions in Takamatsu and Shizuoka. The exhibition will also serve as a relay point for Konoike's next attempt at the Aomori Museum of Art, so please come and see the exhibition.


GALLERY MoMo Projects(六本木)は、六本木アートナイトに合わせ5月23日(火)から6月24日(土)まで鴻池朋子個展『鴻池朋子のストラクチャー』を開催致します。

これまで高松市美術館、静岡県立美術館で開催した『みる誕生』で、鴻池は作品を美術館の外にも設置し美術館と往来させることで来館者に身体を使って鑑賞してもらうような展覧会の構成を作ってきました。

違う場所に設置された作品は、全く違う作品のように見え、違う環境で見ることで感じることに変化があり、目で見ることだけが「みる」ことではないと言うことを感じさせる展示となりました。また、高松で展示されていた地質調査のボーリング資料や美術館の古い設計図を見せることで、来館者が実際に立っている場所の秘密を見たような気持ちを与え、ワクワク感とドキドキ感を経験させました。

本展では、六本木アートナイト期間中に新国立美術館、ミッドタウン両会場に展示でされている作品とギャラリーを往復しながら、鴻池がこれまで作ってきた展覧会の構造を垣間見るような資料や作品を展示する予定です。

また、聾者でもある歴史学者の木下知威氏との往復書簡やテーブルランナー、大型作品のインストール映像、各美術館の展示向けた構想スケッチなどを展示し、さらに『深度図書館』と名付けられた読書スペースを設置し、これまでの書籍や資料をじっくり読むことができます。

「小径が開くと、そこを介して素材自体が、かくありたいと思っていた形を伝えてくる。構造とは、その形に少し骨を添えてやるようなこと。」と語るように、鴻池は自分自身の中にある固定概念を捨て素材から何か語りかけてくるまで待ちながら、素材のあるべき姿を探っています。構想スケッチや往復書簡など言葉を通して、彼女自身が素材の中に感じたユニークな視点、そして「少し骨を添えて」いく過程を垣間見ることができるでしょう。

六本木の雑踏から離れた静かなギャラリーで展覧会や作品ができるまでの過程をじっくりと見ることで、これまで鴻池が高松、静岡での展示で試みてきたことを違う形で体験できると考えています。また来年開催される青森県立美術館での試みへバトンを繋ぐ中継地点になるような展示になりますので、是非ご高覧ください。




鴻池朋子のストラクチャー

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ある盲人が山の小径を歩いている。

この道は半島を八巻状に一周する周回路で、歩いていれば自ずとまた登山口に戻ってくる。人ひとりか二人並んで通れるほどの道には、シダやヤマツツジが生い茂り、足元は長年堆積した枯葉でふかふかで、崖側に潮騒、遠く上の方ではトンビが鳴いていた。そうやって匂いを辿って、ようやくあのヤマモモの木にたどり着いた。

ヤマモモは初夏を迎える頃、葉っぱの付け根に真っ赤な実をつける。甘酸っぱくて大層美味しく、この実を食すのはこの時期の唯一の楽しみだ。濃く熟した実は、そこら中に落ちて芳香を放っていた。

手で小枝をつかみ口元へ持ってきて、唇で実を探っていくと、何か硬いものが歯に触れて小さくカチンと音がした。カタツムリだった。

それによって彼女の環世界が壊されて、突然外界との通路が開かれた。同時に長年のカタツムリの環世界も壊された。振動とともにカタツムリがこちらの体に流れ込んでくる。こちらも蝸牛へ溶け込んでゆく。

例えるなら、私にとっての素材/画材との出会いとは、このようなことのように思う。

小径が開くと、そこを介して素材自体が、かくありたいと思っていた形を伝えてくる。構造とは、その形に少し骨を添えてやるようなこと。骨組みの梁のスパンを広げていくことではない。


鴻池朋子


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